◆国内女子プロツアー<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 8月12日~8月14日 軽井沢72ゴルフ北コース(長野県) 6679ヤード・パー72>
岩井千怜の初優勝で幕を下ろした軽井沢72ゴルフトーナメントは、最終日も大激戦が繰り広げられた。その中で、最終組で初優勝にあと一歩だった吉本ひかる、連続ノーボギーの新記録を達成し、出場2試合連続優勝にも手が届きかけた勝みなみ、最終日に「64」の爆発力を見せた菅沼菜々の3人に注目すると、三者三様の表情が見えてくる。
一皮むけた吉本ひかるの初優勝はいつ?
初優勝には一歩及ばなかった吉本ひかるだが、手応えも感じた優勝争いだった。
1998年度生まれの黄金世代の優勝者に名を連ねることを期待された。2019年は優勝争いに顔を出しながらも勝てないまま2020-2021年のシーズンに突入。ドライバーショットに悩んでシード落ちする結果に。
そこから這い上がって久々の優勝争い。「前(2019年)は必死だったんですけど(今日は)頑張り過ぎずに、自然にプレーできていたので成長してた気がします」と笑顔を見せた。
この日は、前半に2つスコアを伸ばして首位で折り返したが、後半はアドレナリンが出たのか、飛び過ぎて距離感が合わなくなった。
9番ホール以降はノーボギーで回るものの、バーディが奪えず、結果1ストローク岩井に及ばず2位タイ。それでも、「やり切ったので悔いはないって感じです」と胸を張る。
1回目のリランキングが41位だったっため出場できない試合もあるかもしれないが、自信を深めて臨む吉本の今後から目が離せない。
新記録達成の勝みなみも2位タイに!ダッフィー発見の朗報も
初日に87ホール連続ボギーなしの記録を樹立した勝みなみも、2位タイに入った。
2週前の楽天スーパーレディースの優勝は、4日間ノーボギーのツアー史上初の記録を打ちたててのもの。その前週の18番から続く記録(90年以降の記録があるもの)は、間に全英女子オープン出場を挟んで今週まで続き、初日の14番をパーとしたところで、山下美夢有の86ホールを塗り替えた。
次の15番でバンカーからボギーを叩き、記録はそこで途切れたが、本人はまったく意識していなかった。「誰かに言われて『えっ記録?』って思って」という状況だったが、安定したプレーが生み出したものには違いない。
今まで勝自身が記録を意識することはほとんど無い。ただ、「興味はあります」と、意欲を燃やし始めており、それが結果につながればいうことはない。
急遽、出場して予選落ちした全英オープンでは、とんぼ返りとなった帰路にロストバゲージに見舞われた。4つ行方不明だったもののうち3つは届いたものの、最後の1つがまだだったが、発見の報が届いて胸をなでおろしている。というのも、常にサポートしてくれる母、久美さんが常に持ち歩いているディズニーのダッフィーのぬいぐるみがそこに入っているからだ。
「すごく落ち込んでて『ダッフィーがいなくなっちゃった』みたいなことをずっと言ってたので、見つかってよかったなという思いです」と優しい娘らしさを見せた。母の平穏は娘の平穏にもつながる。 全英で見つけた課題を克服し、秋の陣に備えるためにも、憂いは1つでも少ない方がいい。
菅沼菜々はベストスコアの猛チャージで8位
最終日に強いところを見せたのが菅沼菜々だ。
3アンダーの36位タイでスタートすると、怒涛の8バーディー、ノーボギー「64」のベストスコアで通算11アンダーと追い上げ、8位に入った。
初日、2日目とショットが不調だったが、この日は見事に復調。4つのパー5すべてをバーディーとした。特に最後のパー5である16番ホールでは、「近くまで行きたくて直ドラしたんですけど、トップしてしまってラフに行っちゃって」と攻め過ぎてしまったが、きっちりとバーディーで収めた。
不安が生じた時に逃げ場がないとパニック発作を起こすという広場恐怖症を抱えている。そのため、プロゴルファーにはつきものの移動も飛行機や船などでできず、車を使っている。北海道の試合が合間に挟まる夏場は、必然的に休みが増えるが、その中でしっかりと結果を出した。
19試合中、これが9試合目のトップ10入りと安定しているが、優勝にはあと少し及ばずにいる。
「シーズンが始まる前にメルセデスランキング15位以内を目標にしていたので、どっかで勝たないとそこには入れないので優勝したいけど届かないですね」と、初優勝に向けて、気合を入れなおした。