◆海外女子プロツアー<シモーネ・アジアパシフィックカップ 8月18日~8月20日 ポンドック・インダGC(インドネシア) 6806ヤード・パー72>
妹との初タッグに笑顔を見せた渋野日向子だったが、結果はふがいないものに終わった。アジア女子ツアー(ALT)の1戦、シモーネ・アジアパシフィックカップは、現地時間20日に最終日のプレーを行い、渋野は通算7オーバーで個人戦22位。妹でアマチュアの暉璃子(きりこ)さんは、通算12オーバー31位タイだった。優勝は通算12アンダーのスペラル・プリンセス(フィリピン)。ほかの日本勢は、櫻井心那が通算3アンダー4位タイ、篠原まりあが通算1オーバー13位タイ。チーム戦では、ユ・ソヨン&イ・ボミの韓国ペアが通算11アンダーで優勝、櫻井&篠原ペアが通算2アンダーの5位タイ、渋野姉妹ペアは通算19オーバーの15位で大会を終えた。
「悔しい結果しかない」という姉と「いい経験になった」と目を輝かせた妹
妹の暉璃子さんとの初めての試合に、笑顔を弾けさせた渋野だったが、プレーは散々だった。73、74、76と3日間すべてがオーバーパーという内容に、「悔しい結果しかないので練習したいです」と、立て直しに力を注ぐ。
一方の明治大学ゴルフ部2年生の暉璃子さんは、「海外で初のプロの試合に出させていただいていい経験になりました」と、終始笑顔だった。
高校卒業後、すぐにプロテストに挑んだ姉とは対照的に、暉璃子さんは他のスポーツをしながらゴルフを続け、大学に進んだ。理由は当初はプロ志望ではなかったからだ。
だが、全英女子オープンに優勝するなどの姉の活躍の影響を受けて、卒業後にプロテストを受ける気持ちになった。そんな中で経験した、姉との貴重な試合だった。
2019年の全英女王というだけでなく、米ツアーで戦い、今年の全英でもあと一歩のところで優勝を逃した姉。一緒にプレーすることでその実力を肌で感じ、その他にもたくさん出場している世界のトッププレーヤーたちのプレーも見ることができた。これは大きかった。
妹・暉璃子さんに機会を与えた姉・日向子の想い
自分のプレー内容とは別に、アメリカと東京で離れて暮らす妹と一緒の試合という部分では、渋野はうれしそうな表情を見せた。
プロとして日本ツアーでプレーし、メジャー王者となって世界へと飛び出した姉・日向子。一方の妹・暉璃子さんは、大学に進学して東京へ。2人一緒にプレーする機会もほとんどなくなった。
違う道を目指す選択肢もあったが、一転してプロを目指し始めた妹に、姉はある機会を与える気持ちになった。
韓国に本部を置くアジア・ゴルフ・リーダーズフォーラムという組織(2020年設立)が、アジアで試合を作り出すことを目的に始めたレディースアジアツアー(LAT)。その2戦目がシモーネ・アジアパシフィックカップだった。同ツアーでは今年は4試合、2023年は7試合、2024年には10試合を行うことを目指している。
そんな中で、渋野は「アジアのアマチュアを盛り上げる」という大会の趣旨に賛同。出場オファーがあるとすぐに、妹をチームメイトとして誘ったのだ。そして、久しぶりに一緒にプレーしている妹を、温かな目で見守り続けた。
櫻井心那、篠原まりあも今後につながる大きな経験を得た
櫻井心那にとっても、大きな経験になった。
昨年11月のプロテストに合格したばかりの18歳。今季はステップアップツアーを中心にプレーしており、8試合に出場してECCレディスで優勝したほか、トップ5入りが3回。さらに、3試合しか出場していないレギュラーツアーでは、唯一、予選を通過した北海道meijiカップで2位タイに入って、存在感を示した。
今回の大会では3日間のプレーの中で、自分をしっかりコントロールして通算3アンダーの4位。優勝したプリンセスとは9打差ながら、日本勢で一番いい結果に目を輝かせた。
「海外の試合に出るのは初めて。あまり自分は海外志向がなかったのですが、すごい選手たちのプレーを目の前にして、私も海外で戦ってみたいという気持ちが出てきました」と、声を弾ませる。
ゴルファーとしての人生を変えてしまうことになるかもしれない、桜井にとって大きな意味を持つ大会となった。
篠原まりあも13位と健闘した。日本ツアーでは、2019年に賞金ランキング46位でシード権を取ったが、昨季88位で手放している。日本ではリランキング89位と出場できる試合が限られるが、ここでの手応えを今後に生かすに違いない。