セキ・ユウティンがツアー参戦6年目で涙の初優勝!吉田優利をプレーオフで下す

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セキ・ユウティンが涙の初優勝 写真:Getty Images

◆国内女子プロツアー<ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント 9月2日~9月4日 ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(千葉県) 6465ヤード・パー72>

大混戦をセキ・ユウティン(中国)が制した。
ゴルフ5レディス最終日は、早い組でスタートした選手が猛チャージを見せ、上位も呼応する大混戦。出入りの激しいゴルフを見せたセキが、通算12アンダーでホールアウトすると、17番のバーディーで吉田優利が追い付き、プレーオフにもつれこんだ。セキは、1ホール目でティーショットを右に曲げるピンチに見舞われたが、吉田も3パットでともにボギー。2ホール目でバーディーを決めて、初めての勝利の美酒に酔った。 

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「もう無理」から「もったいない」で初優勝!

 1イーグル、8バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの6アンダー66。パーが6ホールしかない怒涛の18ホール。通算13番のイーグルで通算13アンダー単独首位に立ったところで、強烈なプレッシャーに襲われた。パー3の14番で13メートルを3パットしてボギー、15番(パー4)ではティーショットを右にOB。ダブルボギーを叩いてしまう。

 優勝経験のない選手にとって大きな試練。「もう無理!」という気持ちを「もったいない」という気持ちが封じ込めた。効果はてきめん。16、17番の連続バーディーで再び首位に返り咲き、通算12アンダーでホールアウト。単独首位で後続を待った。

 プレーオフでも、あきらめなかった。

 1ホール目のティーショットを大きく右に曲げてグリーンが狙えなかったが、レイアップした第3打はいい位置に乗った。残念ながら入らずボギーとなったが、吉田に重圧を与えることもできた。

 2ホール目はしっかりと攻めてバーディー奪取。吉田を下した。

 中国のナショナルチームで活躍し、中国ツアーで賞金女王になった後、18歳で日本ツアーにやってきてから6年目。うれしい初優勝となった。

ツアー参戦6年目の初優勝に笑顔でVサイン 写真:Getty Images

勝利へのカギはメンタルだった

 勝利に導いてくれたのは、謙虚な気持ちだった。

 父、セキ・エットウさんの仕事の関係で日本の福井県で生まれ、中国に戻ってナショナルチームの一員としてゴルフの腕を磨いたセキは、プロに転向するとすぐに中国ツアー賞金女王に輝いた。

 「私、天才」と自信満々で日本ツアーにやってきたのは19歳の時。ここで挫折を経験する。

 2016年のプロテストに挑むも1打及ばず不合格。当時の制度ではQT上位に入れば試合に出られたため、16位で翌2017年は32試合に出場した。だが、17試合で予選落ち。その現実を「私の問題じゃない、(日本に)慣れてないから、とか思っていた」と苦笑する。

 そこから、日本ツアーと自分のレベルの違いを徐々に受け入れる苦しい作業が続いた。昨年のQTも42位だったが、前半に出られる試合でコツコツとポイントを稼いで、リランキング37位で出場した大会で、ようやく勝利を手にした。

 優勝できた一番のポイントは、「メンタル。謙虚な気持ちと感謝です」。そう口にする現在のセキに、天狗になっていたころの面影はない。「これでシード選手になれました」と無邪気に声を弾ませ、次の目標には「メジャー(公式戦)優勝」を掲げる。

 百花繚乱の日本ツアーに、また1人、新しいヒロインが生まれた。

惜敗も自信につなげる吉田優利

惜しくも大会連覇を逃した吉田優利 写真:Getty Images

 大会連覇を、吉田優利はあと一歩のところで逃した。

 最初から最後まで攻めのゴルフ。前半は3バーディー、2ボギーと一進一退のゴルフだったが、後半は優勝に向けて突き進んだ。

 早いスタートだった堀琴音、菅沼菜々が通算11アンダーでホールアウトし、ダンゴ状態となった優勝争いを抜け出したセキの通算12アンダーを目指してプレーした最後の3ホール。17番のバーディーは圧巻だった。左奥から17メートルの長いパットをねじ込んで見せた勝利への執念。12アンダーでセキに並んで、プレーオフに持ち込んだ。

 昨年、ツアー2勝目を挙げたゴルフ5CC四日市C(三重)から、千葉に舞台を移して臨んだ大会連覇。だが、勝利の女神は残酷だ。プレーオフ1ホール目のチャンスを生かせなかった吉田は、2ホール目でバーディーが取れずにセキに敗北した。

 「純粋に勝てなくて悔しい気持ちもありますし、自分がやらなければいけないことをできたという気持ちもあります」と、率直な気持ちを口にする姿には、17番でバーディーが取れた自信がにじむ。シーズン初優勝(ツアー3勝目)まであと一歩。そのことを強く感じさせる惜敗だった。

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