◆国内女子プロツアー<JLPGA QTファイナルステージ 11月29日~12月2日 JFE瀬戸内海GC(岡山県) 6442ヤード・パー72>
来季の出場権をかけたクォリファイイングトーナメント(QT)ファイナルステージが終わった。シード権を持たない選手たちが、来季の第1回リランキングまでの出場順位を争う72ホールの戦いだ。
シード落ちした選手やプロテスト1位合格など、ファイナルステージに直接出場できる者以外は、1次、2次とふるいにかけられてのファイナルステージ。試合によってここから出場できる人数が限られるため、ハッキリしたことは言えないが、昨年実績をみると35位以内なら大半の試合に出場できることがわかる。今回の結果はどんな悲喜こもごもを生んだのか。
完全1位の若林舞衣子は笑顔
最初から最後まで1位の座を守り通し、若林舞衣子がQTを無事突破した。
2019年4月に長男・龍之介くんを出産し、2020年6月に産休からカムバック。翌2021年GMOインターネットサマンサタバサグローバルカップでツアー4勝目を挙げた。
龍之介くんと笑顔で勝利の美酒に酔ったことは記憶に新しいが、2022年は苦戦が続いた。
さらに上位を目指して戦い始めた春先に、家族が順に新型コロナウイルスに感染。濃厚接触者としての自粛期間も含めて、4試合欠場を余儀なくされた。
8月のCATレディスでは首位でスタートし、最終日最終組で優勝争いをするなど(結果は7位タイ)、光るプレーもあったが、トップ10はこの1試合だけ。メルセデスランキング88位でシードを喪失した。
だが、早めに覚悟を決めて臨んだQTファイナルステージでは、初日に8アンダー64を叩き出して首位に立つ。その後、スコアが伸びない中、粘りに粘って通算11アンダー。見事に1位で来季序盤戦の出場切符を手にした。
34歳になった現在も、試合中はプロゴルファーとしての生活に専念するが、オフシーズンも含めて自宅に戻れば、家族と子育てをしながら時間を捻出。
工夫しながらトレーニングや練習をすることになるが、その中で結果を出すための第一歩をまずはしっかりと確保して、息子の前で再び強い姿を見せるべく、準備を整えている。
プロテスト合格したばかりのルーキーからも3人が出場権確保
2022年プロテスト合格組の中からも35位以内に入った選手がいる。
トップ合格の神谷そらは7位、荒川怜都は4位、鶴瀬華月は13位といい位置でQTを終え、来季の活躍に期待が集まる。昨今では、ルーキーでいきなり活躍する選手も少なくないだけに、誰が花開くのか楽しみだ。
同じプロテスト合格組でも、35位以内に入れなかった選手たちは、QTの枠が多い試合や主催者推薦などから出場権を得て結果を求めることになる。それ以外はファイナルに進めなかった選手たちとともに、下部ツアーのステップアップで腕を磨き、足掛かりをつかむしかない。
シード落ち組の明暗
若林同様、シード落ちしてファイナルからQTに臨んだ選手たちも、くっきりと明暗が分かれた。
仲宗根澄香(9位)、柏原明日架(19位)、田辺ひかり(20位)、岡山絵里(24位)らは、ひとまず出場権を得てホッと一息ついたが、対照的に目の前が真っ暗になった選手たちも少なくない。
早々に産休からカムバックしたが、シードを失った大西葵(54位)や、20シーズン保持し続けたシード権をメルセデスランキング81位で失ったツアー23勝のベテラン李知姫(63位)、比嘉真美子(82位)などが、苦しいシーズンを迎えることになる。
レギュラーツアー復帰に光明を見出した者もいる。
6シーズン維持したシードを昨年失った葭葉ルミは、6位で来季も完全復活への足掛かりをつかんだ。藤本麻子(12位)、新垣比菜(14位)ら、ツアー優勝経験者たちも、再びシードを取り返すための権利をまずは手に入れたことになる。
11年ぶりのツアー優勝を飾り、最終戦JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに出場した金田久美子がQTで戦う苦しみを口にしていたが、それをクリアした者とできなかった者。はっきりと明暗の分かれるサバイバルレースはひとまず終わった。
だが、戦いはこれで終わりではない。今回、上位に入った選手たちも、第1回リランキングまでに結果が出せなければはじき出されていく。永遠のサバイバルレースは続く。