PGAツアーが「ジャパン・ラブ」な理由!【舩越園子 ゴルフの泉】

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2021年ZOZOチャンピオンシップで優勝を決めガッツポーズの松山英樹 写真:Getty Images

ジョン・ラームの優勝で幕を閉じた今年のマスターズ。優勝争いの一方で注目を集めたのはリブ勢の活躍でしたが、今回はPGAツアーが考えている将来的な展望に関するお話です。日本で開催される唯一のPGAツアーの大会『ZOZOチャンピオンシップ』。2021年は日本のエース・松山英樹が見事優勝し、アメリカツアー通算7勝目を挙げて大いに盛り上がったのは記憶に新しいところ。そのときに行われたPGAツアーの首脳陣による会見に関して話したいと思います。

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PGAツアーが目指しているのは世界制覇!?

 松山選手が単独首位を走っていた大会3日目の朝、PGAツアーのアジア市場を率いる首脳陣のインタビューが試合会場内のメディアセンターで行なわれました。コロナ禍ながら、対面形式のアットホームな雰囲気も手伝い、日ごろは口が堅い首脳陣が笑顔を交えながら饒舌に語り始めました。

 「東京五輪の成功は、私たちに大きな自信を与えてくれた。日本でもPGAツアーの大会ができると確信することができました。冠スポンサーのZOZOの方々の協力姿勢は、本当に稀に見るほどのもので、非常にありがたいと感じています。日本はアジアの中でも特別な国。まさにスペシャル・カントリーです。PGAツアー・メンバーの中にも、日本で開催する試合なら是非とも行きたい、出たいと意欲を見せる選手がたくさんいます」

 そんな彼らの言葉を聞きながら、明らかに感じ取れたことは、これからPGAツアーが日本のゴルフ市場に、もっと深い関りを持とうとしていること。そして、日本市場を足掛かりにして、アジア全体に、果てはもっと広い範囲へPGAツアーの手を伸ばそう、広げようと考えていることでした。

 そこで私は、担当直入に首脳陣にこう尋ねました。「それは、PGAツアーがゴルフにおいて、世界制覇を狙っているという理解で、よろしいですか?」

 私の突飛な質問に面食らった表情を見せた彼らの、そこから先の反応は、とても興味深いものでした。

制覇ではなく一緒に成長したい

松山にトロフィーを渡すクリスチャン・ハーディPGAツアーシニアバイスプレジデント(役職は当時) 写真:Getty Images

 私の突飛な質問に面食らった様子の首脳陣2人は、少々困惑しながらも、「制覇ではなく、日本やアジア諸国のゴルフを成長させたい、一緒に成長したいと考えています」と、私の意地悪な質問をスマートに交わしました。

 しかし、PGAツアーが“ジャパン・ラブ”の視線を向け、すでに数々の具体策を検討しているのは事実。今後、『ZOZOチャンピオンシップ』に続く、「第2の日本におけるPGAツアーの大会」の開催を考えていることも明かしてくれました。

 「日本で、まずプレジデンツカップをやりたい。シニアのチャンピオンズツアーの大会も含めて、是非とも日本でやりたい」

 2020年11月、PGAツアーはヨーロッパツアーと部分的な提携関係を結びました。これに近い提携関係を日本とも結べば、将来的には米欧日がアライアンスを組む格好になり、世界のゴルフ主要市場がPGAツアーのアンブレラに入ります。そう、「世界制覇」は、「ズバリ」ではなくても「遠からず」です。

 しかし、そうした小難しい話はさておき、エキサイティングなPGAツアーの大会が、さらに1つ、2つと日本で開かれる日が近い将来に到来することは、ほぼ間違いありません。それは、日本のゴルフファンとゴルフ界、選手たちにとって、朗報であることに間違いないと私は思います。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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