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キーガン・ブラッドリーが一獲千金より優先させたこと【舩越園子 ゴルフの泉】

2022.04.12

ゴルフジャーナリストの舩越園子さんがPGAツアーを中心に長年のゴルフ取材中に見聞きしたこぼれ話を紹介します!今回は、キーガン・ブラッドリーが示したゴルファーとしてあるべき姿の話です。

一獲千金より優先されたゴルファーとしてあるべき姿

 キーガン・ブラッドリーというアメリカ人選手がいます。2011年にメジャー大会の全米プロを制した実力者です。

 そのブラッドリーが2014年のシーズンエンドに行なわれていたBMW選手権の3日目の朝、突然棄権し、周囲を驚かせました。BMW選手権の翌週は最終戦のツアー選手権。その最終戦に進出するためには、アメリカツアーのランキングでトップ30に入る必要がありました。最終戦に出場して、もしも年間総合優勝に輝けば、ボーナスとして10ミリオン、つまり10億円以上を手に入れる可能性もありました。しかし、そのとき28位だったブラッドリーは、BMW選手権の途中で棄権してしまったため、最終戦には進めなくなりました。

 しかし彼は、最終戦進出より、10億円獲得より、ゴルファーとしてあるべき姿、選ぶべき道を優先し、自ら棄権する決断を下したのです。

2014年BMW選手権でのブラッドリー 写真:Getty Images

ゴルフは自己申告を重んじる紳士のゲーム

 その原因となった出来事は初日の18番で起こりました。ブラッドリーがグリーンを狙って打ったボールがバンカーのすぐ上の土の中に埋まった格好になりました。

 ルール委員は、「自分のショットでできたピッチマークに埋まったボールは無罰で取り出し、ドロップできますよ」とブラッドリーに伝え、言われた通り、ブラッドリーは無罰でドロップして次のショットを打ちました。

 しかし、ラウンド後、一人の観客が近寄ってきて、「あなたのボールは、ワンバウンドしたあと、元々あそこにあった穴にたまたま入った」と告げたのです。その瞬間を目撃した人は他にはおらず、テレビカメラもその場面を捉えてはいませんでした。ブラッドリーは観客から告げられたことをすぐにルール委員に伝え、判断を仰ぎました。するとルール委員は、「いやいや、バウンドしたボールが、もともとあった穴にもぐり込むとは考えにくい」と観客の目撃談を否定。「何も気に病むことはないですよ」とブラッドリーを励ましました。

 「それならば」と、ブラッドリーは気を取り直して2日目をプレーしました。でも、「あの観客が言ったことが事実だったとしたら、僕はルール違反を見逃してもらって生き残ることになる」と思えてきて、3日目の朝、自ら棄権を申し出たのです。
「疑わしい以上は、こうすることが正しい判断、正しい道です」

 ゴルフは自己申告を重んじる紳士のゲームです。ブラッドリーの行為は、ゴルファーとして人間として、あまりにも素晴らしいと世界中から賞賛の声が寄せられ、一獲千金への道を自ら閉ざしたブラッドリーは、それ以上の名声を得ることになったのです。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

キーガン・ブラッドリーが一獲千金より優先させたこと【舩越園子 ゴルフの泉】

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