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パドレイグ・ハリントンの「おとぎ話」みたいな話【舩越園子 ゴルフの泉】

2022.05.04

ゴルフジャーナリストの舩越園子さんがPGAツアーを中心に長年のゴルフ取材中に見聞きしたこぼれ話を紹介します!今回はアイルランド出身のパドレイグ・ハリントンが、2008年に全英オープンを連覇した時のお話です。

2年間でメジャー3勝、一時代を築いたパドレイグ・ハリントン

 プロゴルフの世界は、言うまでもなく弱肉強食の実力社会です。でも、ときどき、本当にときどきですが、おとぎ話の世界の話ではないかと思うような出来事もあります。

 パドレイグ・ハリントンというアイルランド出身の選手がいます。2007年に全英オープンを制し、翌年も全英オープンで勝利して2連覇を達成。その翌月、全米プロでも勝利を挙げ、瞬く間にメジャー3勝を挙げて一時代を築いた選手です。現在は50歳になりましたが、あの「おとぎ話」みたいな出来事は、彼が36歳で制覇した2008年の全英オープン最終日に起こりました。

寒風が吹き荒れるなか、高齢の女性に防寒着を渡したハリントン

2008年の全英オープンで優勝を争ったグレッグ・ノーマン(左)とハリントン 写真:Getty Images

 あの日、ハリントンと勝利を競い合っていたのは、「ホワイトシャーク」と呼ばれていたオーストラリアのグレッグ・ノーマン。ロイヤル・バークデールには寒風が吹き荒れ、選手たちはみな防寒着を着込んでプレーしており、ロープ際で観戦していたギャラリーも、みなダウンジャケットを着てニット帽にマフラー、手袋という出で立ちでした。でも、どうしてだかハリントンだけは、ただ1人、半袖でプレーしていました。

 あるホールでティショットを打ち終わったハリントンは、ロープ際で車椅子に座って寒そうに観戦している高齢の女性の姿に気付き、そのまま女性の方へ歩み寄っていきました。声をかけるのかなと思って見守っていたら、ハリントンは自分のゴルフバッグの中からウインドブレーカーを取り出し、無言のまま女性の膝にウインドブレーカーをかけて、歩き去っていきました。

 一瞬の出来事に、その女性はただただ驚き、歩き去って離れていくハリントンの背中を見つめながら「オー、サンキュー!なんて優しい人なの!」と声を上げながら喜んでいました。

 それから数時間後。ハリントンは強豪ノーマンを抑え、全英オープン2連覇を成し遂げました。

 「あの女性は、本当は魔法使いだったのではないだろうか。魔法使いがウインドブレーカーのお礼に魔法をかけて、ハリントンを勝たせたのではないか」

 あの日、密かにそう感じたのは、決して私だけではなかったはずです。ゴルフでは、そういう「おとぎ話」のような出来事が、ときどきですが、本当に起こると私は思っています。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

パドレイグ・ハリントンの「おとぎ話」みたいな話【舩越園子 ゴルフの泉】

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