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日本ツアーで成長したトッド・ハミルトンが輝いた日【舩越園子 ゴルフの泉】

2022.04.27

ゴルフジャーナリストの舩越園子さんがPGAツアーを中心に長年のゴルフ取材中に見聞きしたこぼれ話を紹介します!今回は1992年から12年間、日本の男子ツアーで活躍したトッド・ハミルトンが、2004年の全英オープンで優勝した時のお話です。

日本ツアーで通算11勝を挙げたトッド・ハミルトン

 古くからのゴルフファンは覚えていると思いますが、1990年代から2000年にかけて、日本の男子ツアーにトッド・ハミルトンというアメリカ人選手が参戦していました。日本で暮らした12年間に合計11勝を挙げ、とりわけ2003年には年間4勝を挙げて日本ツアーの賞金ランク3位になり、その資格で翌年の全英オープンに出場しました。

 そして、ハミルトンはみるみるリーダーボードを駆け上り、3日目を終えたときには単独トップに立っていました。その年の春、彼は夢の米ツアーデビューを果たし、初優勝も挙げていました。でも、日本で苦節12年を過ごした中年ルーキーが、強豪選手たちを抑えて全英オープンを制することができるとは、正直なところ、周囲は誰も思っていなかったのだと思います。

全英オープンの表彰式の空にかかった七色の虹

表彰式の空には美しい七色の虹がかかっていた 写真:Getty Images

 ハミルトン自身も、自分が優勝することは奇跡だと感じていました。そして彼は、3日目の夕暮れの会見で、こんなことを言ったんです。

 「僕はアメリカのイリノイ州の小さな町で育ち、9ホールしかないゴルフ場でゴルフを覚えました。あるとき、人口わずか1500人の小さなその町にサーカスの一団がやってきて、1頭の象を鎖で木につないでいました。ある夜、町はすさまじい嵐に襲われ、雷が木に落ちて、象はその場で死んでしまった。でも人々は重たい象を動かすことができず、その場に穴を掘って象を葬りました。明日、僕がこの全英オープンで優勝することは、あのとき土の下に葬られた象が空を飛ぶことと同じぐらいの奇跡です。もしも、あの象が空を飛ぶ姿をこの目で見ることができたら、僕は自分が全英チャンプになれると信じることができるのかもしれない。でも、象が飛ぶなんてことは、きっと起こらない。だけど僕は明日、110%の力で戦い抜きます」

 ハミルトンの力強い言葉を聞いたとき、もしかしたら明日、彼は勝つかもしれない。象が空を飛ぶかもしれないと私は秘かに思いました。

 そして、いざ最終日。ハミルトンはアーニー・エルスとのプレーオフを制し、優勝しました。

 もちろん、象が空を飛ぶ姿は見られなかった。でも、表彰式が始まったとき、彼方に小さな虹がかかっていたんです。とてもきれいな七色の虹は、どこかで象が飛んだことを知らせてくれていたのではないでしょうか。

 あの日の不思議な出来事のすべてが、私は今でも忘れられません。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

日本ツアーで成長したトッド・ハミルトンが輝いた日【舩越園子 ゴルフの泉】

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