“世界の青木功”流コミュニケーション術がスゴイという話【舩越園子 ゴルフの泉】

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1983年パナソニック・ヨーロピアン・オープンで優勝したときの青木功プロ 写真:Getty Images

海外の方とコミュニケーションをとりたいと思っていても、言葉の問題でなかなか積極的になれない方も多いと思います。今週は、日本のトッププロとして世界の舞台で活躍し、現在は日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長を務める青木功プロのコミュニケーション術の話です。

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日本のレジェンド・青木功プロとのランチ

 2011年の夏。私は全英オープンを取材するためスコットランドへ飛び、その翌週には、全英シニアオープンの会場へ向かいました。

 そこで、練習を終えてクラブハウスへ引き上げようとしていた日本のレジェンド、青木功プロを発見。遠くから会釈すると、青木プロはにっこり笑って近づいてきて、「一緒にランチ食べような」と誘ってくれました。

 青木プロと一緒に選手用のラウンジのテラス席に座ったら、ラウンジの中から一人の大柄な黒人選手が出てきて、青木プロを見るなり、「へーい、イサオー!」と声をかけてきました。手にはサンドイッチやパイを持っていました。

 青木プロは黒人選手の肩を抱くようにしてじゃれ合いながら、独特のブロークンな英語で、「それ、買ったのか?どこにあった?」。

 極めつけは日本語で「オレも食べたい!」。

 すると、青木プロの日本語は、なぜかちゃんと通じた様子で、黒人選手は「あげないよ」と言わんばかりに手に持っていた食べ物を隠すような仕草で、ふざけ合っていました。

現在はJGTO会長として男子ツアーの発展に尽力 写真:JGTO images 

「バカをやる」ことが世界での成功の秘訣!?

 その選手が立ち去ったあと、青木プロが、「アイツ、今やヨーロッパのシニアツアーの顔みたいな存在だからなあ」と教えてくれたので、「へー、何ていう名前ですか?」と尋ねたら、「名前?そんなものは知らねえよ」と答えたので、その場は大笑いになりました。

 青木プロいわく、「いいんだよ、名前なんて知らなくて。俺は難しい英語はわかんねえけど、でも難しい英語がペラペラしゃべれたって、ああやってバカをやれなきゃ、ダメなんだよ」。

なるほど。「バカをやる」というのは、肌と肌で、本気と本音で触れ合うという意味なのでしょう。それが、青木流コミュニケーション術なのだと思います。

 海外でそういうコミュニケーションが取れる日本人は決して多くはありません。でも、それは原始的なようで、とても大切なこと。世界における成功の秘訣は、「バカをやる」ところに隠されているのかもしれないぞ。そんなことを感じたひとときでした。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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