2年に一度の対抗戦・プレジデンツカップが近づいてきました。米国チームとインターナショナルチームの対抗戦で松山英樹選手の活躍にも期待が高まります。プレジデンツカップの他にも対抗戦といえばライダーカップもありますが、そこには選手達を支える家族の物語があるのです。
チーム対抗戦はプライドをかけた戦い!
個人競技のゴルフは「孤独なスポーツ」と言われますが、一方で、ワールドワイドなプロゴルフの世界には、団結力が求められるチーム対抗戦もあります。
アメリカとヨーロッパが国と大陸の名誉をかけて競い合うライダーカップはその代表例。そして、ヨーロッパ以外の世界の国々が世界選抜チームとなって団結し、米国選抜チームと対戦する大会はプレジデンツカップと呼ばれています。
今でも印象に残っているのは2009年のプレジデンツカップ。あの大会では選手を支える妻や恋人の愛情をとりわけ強く感じました。
米国選抜に目をやれば、大会直前に母親を白血病で失い、悲しみをこらえて出場していたケニー・ペリーの傍らには愛妻サンディが寄り添い、励ましていました。
フィル・ミケルソンの妻エイミーは必ずミケルソンと一緒に会場入りし、熱い声援を送るのが常でしたが、2009年大会のときは、乳がんの手術から数か月しか経っていなかったため、ミケルソンは1人で試合会場にやってきました。
しかし、最終日の前夜に、居ても立っても居られなくなったエイミーが突然、会場に現れ、ミケルソンとチーム全員を驚かせたのです。「最高のサプライズ・プレゼントだ」と喜んだミケルソンの心は燃えあがり、翌日の個人マッチでは圧勝しました。
18歳の石川遼を支えたチームとしての家族愛
世界選抜チームの一員として初出場していた石川遼は、当時はまだ18歳で、結婚しておらず、単身で来場していたため、チームの副キャプテンだったフランク・ノビロの妻であるセレナが「母親役」を買って出ました。
そしてロープ際で石川選手を優しく見守りながら応援し、「私の息子は立派に戦っているわ」と誇らしげに語りました。
ゴルフの戦いは米国チームが勝利しましたが、両チームの愛情合戦には勝者も敗者もなかったのではないか。あのとき私は、そう感じました。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)