今やLPGAツアーの中心選手の一人として活躍し続けている畑岡奈紗。今週は日本で行われている「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」に出場していますが、今回はそんな彼女の強さにまつわるお話です。
2人の日本人による歴史的なプレーオフで惜敗した畑岡奈紗
女子ゴルフの最高峰、全米女子オープン(2021年)で笹生優花が優勝しました。2位になったのは畑岡奈紗。2人の日本人選手がサドンデス・プレーオフで勝敗を決するという史上初めての展開を、日本のみならず世界各国のゴルフファンが固唾を飲んで見守りました。
19歳11か月7日で大会を制した笹生選手は史上最年少優勝。本当に素晴らしい勝利でした。でも私は、勝利を逃した畑岡選手に、エールを送りたい気持ちでいっぱいでした。
畑岡選手は敗北を喫しても、メディアの取材にきっちり答える優等生でした。そして、心から勝者をたたえるグッドルーザーでもありました。
「優花ちゃんとはジュニア時代から同じフィールドで戦ってきたので、簡単には勝たせてくれないとは思っていました。優花ちゃんの攻めのプレーも本当に素晴らしかった」
2位が多いのは強い選手の証
畑岡選手は、敗北しても卑屈にはならず、顔を上げ、毅然と胸を張って、こう言いました。「最後まで諦めずにできたのは良かった。6打差ある中でプレーオフに進めたのは良かった。ピンチが続く中でも諦めずにプレーできたのは良かったです」
笹生選手を指導する尾崎将司は、「最大の賛辞を贈りたい。素晴らしい2位であった」と畑岡選手をたたえました。
その通り、畑岡は良く耐え、よく伸ばし、ネバーギブアップのゴルフを見せてくれました。難コースのオリンピッククラブで4日間をアンダーパーで回り終えたのは、わずか5人。その中でもベストスコアとなる4アンダーで回ったのは、笹生と畑岡だけであり、プレーオフでどちらが勝つか負けるかは、本当に紙一重でした。
畑岡選手が勝てなかったことは事実。でも、尾崎の言葉通り、それは「素晴らしい2位」でした。私も、畑岡選手に心からエールを送りました。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)