ベルンハルト・ランガーが年齢に1打勝った話【舩越園子 ゴルフの泉】

  • URLをコピーしました!
2023年全米シニアオープンで優勝したベルンハルト・ランガー 写真:Getty Images

エージシュートは長年ゴルフを続けている人にとって夢の1つに数えられますが、今回はドイツのベルンハルト・ランガーがエージシュートを達成した時のお話です。

INDEX

エージシュートを達成するのは大変なこと

 ゴルフの世界には、エージシュートという言葉があります。

 エージは年齢、シュートはスコアを「出す」「マークする」という意味。たとえば、70歳のゴルファーが70というスコアをマークしたら、エージシュートを達成したということになります。

 2021年のこと。50歳以上の選手が出場するアメリカのシニアのチャンピオンズツアーで、当時64歳のベルンハルト・ランガーが年齢より1つ少ない「63」というスコアをマークしました。

 アメリカのメディアは、この快挙を「ランガーが年齢に1打勝った」という見出しで報じていました。これを見た私は一瞬、「年齢とまったく同じ数字より1打ベターな数字をマークしたこの快挙を、ズバリ言い表す言葉はあるのかなあ?」と思ったのですが、よくよく考えてみたら、エージシュートの意味は「年齢より少ない打数で回ること」と定義されています。

 つまり、マークしたスコアがずばり年齢そのものの64だったとしても、1打少ない63だったとしても、仮に62だったとしても、どれも「エージシュート」と呼ばれるものなのです。

幸せなゴルフ人生を送れたからこそ狙えるエージシュート

1985年と1993年のマスターズを制したベルンハルト・ランガー 写真:Getty Images

 言葉で記すのは簡単ですが、実際にエージシュートを達成するのは大変なこと。心身の鍛錬はもちろんのこと、ゴルフへの愛を長年、保ち続けない限り、エージシュートは達成できないだろうと思うのです。

 私の周囲にも、エージシュートを何度も達成されている紳士が数人います。その紳士たちには大きな共通点があり、70歳代、80歳代になられている彼らは、みな人生を楽しんでいる様子。そういう意味で「幸せな人生」を歩んでおられる。だから、何に対しても、ゴルフに対しても、ポジティブで、だから長く続けられるのだと思います。

 そう言えばランガーも幸せそうだなあ、若かったレギュラーツアー時代より、シニアになってからの今のほうが、もっと幸せそうだなあと感じられ、「なるほどね」と合点がいきました。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

LET’S SHARE
  • URLをコピーしました!
INDEX