どんなことがあっても変わらないタイガーの戦う姿勢【舩越園子 ゴルフの泉】

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2023年マスターズでのタイガー・ウッズ 写真:Getty Images

今年の全英オープンへの欠場を発表したタイガー・ウッズですが、ファンはいつまでもタイガーの復活を願っています。今回は、そんなタイガーが苦境に陥っても諦めない彼の心中に関するお話です。

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世界が沸いた2018年の復活優勝

 2021年2月の交通事故で右足に重傷を負ったタイガー・ウッズが、それから9か月が経過した11月に初めて胸の内を明かしました。

 アメリカのゴルフダイジェスト誌のインタビューに答えたウッズは、「フルタイムでツアーに出ることは、もう決してない。でも年に数試合、選んで出場し、戦うことはできる。不幸な現実だけど、それが僕の現実だ」と語りました。

 ウッズは2017年に4度目の腰の手術を受けた後、長いリハビリ生活を経て、2018年の年明けから、ようやくツアーに復帰しました。そして、その年の最終戦、ツアー選手権で5年ぶりの復活優勝を果たし、翌年4月の『マスターズ』を制して完全復活。メジャー15勝目を挙げました。

 さらにウッズは、2019年10月に日本で開催された『ZOZOチャンピオンシップ』で勝利を挙げ、アメリカツアー通算82勝目を達成して、サム・スニードの記録に並んだのです。

 その後は、ウッズのさらなる記録更新が期待されていたのですが、2021年2月にロサンゼルス郊外で交通事故を起こし、命はとりとめましたが、右足に重傷を負ってしまいました。それからというもの、リハビリ生活を送っていたウッズが公の場に姿を見せたことはなく、彼の肉声が聞かれることもありませんでした。

 そんな中、ウッズは2021年の11月22日に、自身のスイング動画を交通事故後としては初めてツイッターで公開。わずか1スイング、たった3秒の動画でしたが、スムーズなスイングには「前進している」というメッセージも添えられ、復活への期待が膨らんだ矢先、アメリカの雑誌のインタビュー記事が出されたのです。

 「グレートな人生を送るために、必ずしも世界のベストプレーヤーを相手に戦う必要はない」

 そう前置きした上で、ウッズは、長い間、しまっていた胸の内を少しずつ語り始めました。

現実を受け入れることこそがタイガーの強さ

2019年マスターズで優勝した時のタイガー・ウッズ 写真:Getty Images

 アメリカのゴルフダイジェスト誌によるインタビュー記事の中で、ウッズは2017年に受けた生涯4度目の腰の手術後の長かったリハビリ生活を振り返りながら、こう語りました。

 「4度目の腰の手術のあと、たとえるなら、僕はマウント・エベレストを必死に登ったという感じだった。今、もう一度、険しいエベレストを登れるだけの肉体が、僕に残されているとは思えない。でも、それはそれでいい。僕には命がある。右足がある。ゴルフをすることはできるんだ。そして、右足が良くなれば、また試合に出ることはできる」

 しかし、かつてのように年間を通じてツアーに本格的に参戦は、もはやできないとウッズは断言しました。

 「現実として、再びフルタイムでツアーに出ることは、もう二度とない。もう決してない。でも、試合を選んで出ることはできる。かつてのベン・ホーガンがそうだったように、年に数試合、選んで出て、戦うことはできる。それは、不幸な現実だけど、それが僕の現実。そう理解して、僕は現実を受け入れる」

 しかし、腰の手術を繰り返してからのウッズは、すでにフルタイム参戦ではなく、試合を選んでツアーに出ていました。それでも、これからは出場できる試合数が一層減ることになるのかもしれません。それでも、ウッズが戦う姿を再び見ることができるのだとすれば、それは、ファンにとって何よりの大きな大きな朗報です。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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