2021年の全英女子オープンは、スコットランドの名門・カーヌスティで開催されました。その時に見事な復活優勝を遂げた、当時34歳のアンナ・ノルドクビストのお話を今回はしたいと思います。
復活優勝の背景にあった夫の存在
スコットランドのカーヌスティで開催された2021年の『AIG女子オープン』、通称『全英女子オープン』で勝利を飾ったのは、スウェーデン出身のアンナ・ノルドクビスト。メジャー3勝目、4年ぶりの復活優勝となりましたが、勝てない日々を克服できた背景には夫の存在がありました。
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優勝争いに絡んでも、どうしても勝てず、フラストレーションが募っていたノルドクビストは、2018年終盤にツアーを休んで、10年来の恋人ケビン・マカルパインとスキー旅行に出かけました。
そこで彼からプロポーズされ、2020年に結婚。恋人から夫に変わったマカルパインが、その後の彼女の何よりの心の支えになり、彼女のゴルフは目に見えて安定していきました。
マカルパインはスコットランド出身で、スコティッシュ・アマチュアで優勝した実績があります。彼自身もプロゴルファーになりましたが、あまり成績は上がらず、2017年の春から約1年間はアメリカの人気女子選手レクシー・トンプソンのキャディを務めたこともありました。
やるべきことはベストを尽くすことだけだと気づいた
スコットランドのダンディという街にあるマカルパインの実家は、全英女子オープンの会場だったカーヌスティから車でわずか20分の距離にあり、「彼がすぐそばにいると感じながら戦うことができました」と振り返ったマカルパインは、そんな小さな偶然にも感謝していました。
「ゴルフは、一生懸命に努力しても、そのハードワークが報われるかどうかがわからないゲームです。でも、自分やほかの選手に起こることや結果をコントロールすることはできない。私にできること、やるべきことは、ただベストを尽くすのみです」
ノルドクビストがカーヌスティで披露した4日間のプレーぶり、とりわけ優勝争いの大詰めで見せたプレーぶりは、彼女の言葉通り、周囲の選手たちの動向に気を取られることなく、自分のゴルフに徹し、「ベストを尽くすのみ」という戦い方でした。
ひたすらフェアウエイをとらえ、グリーンをとらえ、カップにボールを沈める。そうやって「人事」ならぬ「ベストを尽くして天命を待つ」――ノルドクビストの勝利は、そんな圧巻の勝ち方でした。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)