選手にとってキャディは勝負の行方を左右する重要なピースの一つです。だからこそ長年にわたって同じ選手をサポートするキャディも存在するわけですが、日本ではちょっと違ったキャディ文化が存在します。久々の日本ツアーの取材で感じたキャディに関するお話をしたいと思います。
アメリカではハウスキャディを使うことはほとんど無い
アメリカで25年以上、アメリカのゴルフばかりを取材してきた私は、2021年にほぼ四半世紀ぶりに日本の女子ツアーの大会に足を踏み入れ、その華やかさやに驚かされましたが、同時に、日米の違いにも気づきました。
そこで、まず疑問に思ったのは、日本の女子選手たちのキャディ事情でした。
アメリカツアーでは男子も女子も、出場選手の大半が専属キャディを伴って試合に臨みますし、そもそも大勢のハウスキャディが常駐しているコース自体が、さほど多くはありません。でも、私が北海道で取材した日本の女子の大会では132名の出場選手のうち25名がハウスキャディにバッグを担いでもらっていたのです。
北海道という土地柄、専属キャディの交通費を節約せざるを得ないという事情があるという話を耳にしました。なるほど。まだ十分に賞金を稼ぐことができていない選手なら、経費的に余裕がないのだろうとうなずけました。
日本ではハウスキャディは地の利を意味する
でも、稼げない選手はアメリカにもいます。そして、25名もの大勢の選手がハウスキャディを伴っているシーンをアメリカで目にした記憶がなかった私は、とても興味を覚えました。試合会場だった桂ゴルフ倶楽部のキャディマスターに尋ねてみたら、こう答えてくれました。
「我が倶楽部のハウスキャディは42名。みなコースに関する知識は豊富で、どのキャディも自信を持って選手に付けることができます。選手が楽しくスムーズに回れるよう、余計なことは決して言わず、出しゃばることなく付いていく。それが、ハウスキャディの良さです」
それを聞いて、またまた「なるほど」とうなずけました。
ハウスキャディは最初から最後まで「縁の下の力持ち」を貫く存在。だからこそ「ハウスキャディのほうが好き」という選手もいる。それは日本のゴルフならではの事情ですが、日本ならではの特徴であり、魅力でもある。私は、そう思いました。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)