6月15日から名門・ロサンゼルスカントリークラブで開催される今年の全米オープンですが、この4大メジャーにどうしても勝てないのがフィル・ミケルソンです。今回はそんなミケルソンと全米オープンに関するお話です。
勝ちたくても勝てないのがメジャー
2021年の全米女子オープンで笹生優花とサドンデス・プレーオフを戦い、惜敗した畑岡奈紗には、2018年の全米女子プロでも首位と9打差の23位から猛チャージをかけてプレーオフに持ち込み、そして敗れた苦い経験があります。今回は6打差からの猛追でプレーオフに持ち込み、そして今回も敗れてしまいました。
メジャーに勝ちたい。その願いが叶いそうで、なかなか叶わず、それでも毅然と前を向く畑岡選手の姿を目にしていると、思い出されるのは、男子ゴルフ界の先人たちのメジャー惜敗のシーンです。
たとえば、かつてメジャー惜敗を繰り返したフィル・ミケルソンは、今ではメジャー通算6勝を挙げていますが、彼が「一番勝ちたい」と願い続けている全米オープンでは、6度も優勝に王手をかけながらことごとく敗れました。
2位タイを含めた2位が6回
最も印象的だったのは2006年の全米オープン。最終日の18番でミケルソンが打ち放ったドライバーショットは大きく左に飛び出し、「よりによって」コース沿いに建ち並んでいた大きなテントの屋根に当たり、大きく跳ね上がって木々の間の見通しの悪い位置に止まりました。そこから無理にグリーン方向を狙った結果、ミケルソンは自滅し、目前だった勝利を逃した。
あの惜敗のビターな味わいは、今でもミケルソンの胸の中に残り続けているそうです。でも、そんな苦い経験があった一方で、彼は2004年のマスターズ制覇を皮切りに、次々にメジャー・タイトルを獲得し、2021年の全米プロを50歳11か月で制覇して、史上最年長メジャー優勝を達成。メジャー通算6勝目を挙げたのです。
勝てそうで勝てなかった苦しい時代を乗り越えた先には、素敵な未来が待っている。そう信じれば、苦い敗北も糧になります。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)