タイガー・ウッズとの待ち合わせは15分前厳守!【舩越園子 ゴルフの泉】

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今年のマスターズに出場するタイガー・ウッズ 写真:Getty Images

ゴルフ界の王者タイガー・ウッズが交通事故を起こして重傷を負った出来事は、世界中を震撼させました。しかし、ウッズの命が助かったことは奇跡ですし、その後の回復には驚かされるばかりです。今回はそんなタイガーを支えた1人、キャディのジョー・ラカバのエピソードです。

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時間通りに行ったらすでにサラダを食べていたタイガー

タイガーと握手をするジョー・ラカバ(左) 写真:Getty Images

 事故後に救急搬送され、緊急手術を受けたウッズを最初に見舞ったのは、ウッズの恋人と相棒キャディのジョー・ラカバの2人でした。

 2011年からウッズのバッグを担ぎ始めたラカバが、ウッズと初めてディナーを共にした日の話は傑作でした。

 「夕方5時半にレストランで会おう」とウッズから言われたラカバは、言われた通り、ぴったり5時半に約束のレストランへ行きました。

 しかし、ウッズはすでに席に座ってステーキを注文し、先に出されたサラダを1人で食べていたそうです。ラカバに気付いたウッズは、「キミも好きなものをオーダーしていいよ」と優しい言葉をかけたのですが、決して顔をあげず、ひたすらサラダを食べ続けていました。

何も話さずに帰ってしまったタイガー

キャディとしてタイガーの14年ぶりのマスターズ優勝をサポート 写真:Getty Images

 ラカバはメニューを眺める時間と手間を省いて、「僕も同じものをください」と慌てて注文しました。

 しかし、ラカバのサラダが運ばれてくる前にウッズはステーキを食べ終わり、「じゃあ!」と一言だけ言って、さっさと帰ってしまいました。それが、ラカバがウッズに招かれて行った初めてのディナーでした。

 「あの日のことは決して忘れない。タイガーが5時半と言ったらどんなに遅くとも5時15分までには現地へ行っておくべきだということを、あのとき僕は肝に銘じました」

 ウッズが態度で示したことをラカバが察する。そうやって2人の間に信頼関係が生まれ、「あうんの呼吸」ができるようになっていったのです。

 ウッズとラカバの奇妙なファーストディナーは、そういう関係を築き上げるためのファーストステップだったのです。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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