2021年からチャンピオンズツアーに創設された新規大会『コンステレーション・フューリック&フレンズ』。この大会の名前を、私は以前にも聞いたことがありました。今回は、ある1人のレジェンドが悲願を達成したお話です。
チャリティプロアマを正式トーナメントへと昇格させる夢
『フューリック&フレンズ』は、第5のメジャーと呼ばれる『プレーヤーズ選手権』の開幕前に開催されていたチャリティ・プロアマ大会でした。このプロアマ大会の創設者は、大会名が示す通り、個性的なスイングで通算17勝を挙げたジム・フューリックです。
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フロリダ州の住人であるフューリックは、妻タビーサとともに、地元やゴルフ界への社会還元を目的とするチャリティ・プロアマ大会を創設。アマチュアゴルファーがさまざまなフィールドのセレブたちと楽しく18ホールを回るほか、チャリティ・コンサートなども開くワンデー・イベントで、毎年50万ドル以上の収益を地元の病院などへ寄付していました。
しかし、50歳という節目の年齢を意識し始めた40歳代半ばごろ、フューリックは選手仲間のデービス・ラブが、やはり自身が創設したチャリティ大会を正式なツアー競技に組み込んだ前例に着目。「私のフューリック&フレンズもツアー競技にできるのではないか?」と思い始めたそうです。
それから3年後の2021年、ついにフューリックは自身のチャリティ・プロアマをシニアのツアー競技の1つとして開催することに成功。悲願を実らせました。
年を重ねても楽しめるゴルフの素晴らしさを改めて認識
何でも1つ1つ順序立てて進んでいく几帳面な彼は、彼自身が長年に亘ってスポンサー契約を結んでもらっている企業などを訪ね歩き、5年間の冠スポンサー契約を始めとするさまざまな協力を取り付け、その喜びをこんなふうに語りました。
「私が“私の大会”をチャンピオンズツアーの大会にしようと動き出したのは、私がまだシニア入りする前の48歳のときでした。50歳になったら自分が出るつもりでいるチャンピオンズツアーに、自分の大会を作ることができたら、それは夢のような話。その大会ができることで、これまで以上に人々の役に立てれば、それはさらに夢のような話になる。そう思いながら“私の大会”をプロアマからツアー競技に格上げすることに取り組んできました」
いざ、50歳になり、シニアデビューしたフューリックは、「練習グリーンに行ってみたら、自分がパットの練習をする場所が見つけられないぐらい混雑していて、みな生き生き生きしていて、うれしくなりました。シニアの大会がこれほど繁盛するスポーツは、ゴルフとボーリングだけですね」と笑顔で頷き、以来、すっかりチャンピオンズツアーの魅力に憑りつかれています。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)