勝負服や勝負カラーなどゲンを担ぐプロは結構います。今回は、ゲン担ぎをとあるきっかけでやめたらメジャーに勝てたパトリック・リードのお話です。
タイガー・ウッズの勝負服に憧れて赤シャツを着続けたリード
ゴルフの世界で「勝負カラー」と言えば、まず思い浮かぶのは、タイガー・ウッズのサンデー・レッドシャツです。ウッズは試合の最終日には、昔も今も赤いシャツに身を包んで戦います。
そんなウッズに幼いころから憧れていたパトリック・リードという選手は、ジュニアやアマチュアの大会に出ていたころからウッズの真似をして、いつもレッドシャツ姿でプレーしていました。
そして彼はプロ入り後も最終日にレッドシャツ姿で米ツアー5勝を挙げ、「次こそはメジャー優勝」と意欲を燃やしていました。
赤じゃなくピンクのシャツが勝負服に!?
そんなリードが最終日に勝負カラーのレッドシャツを着なくなったのは、皮肉なことに、彼がメジャー初優勝を挙げた2018年マスターズからでした。
あのマスターズは、腰の手術を受けて長い間、戦線離脱していたウッズがようやく復帰した大会で、人々の視線はウッズに釘付けでした。
そんな中、ウッズとリードの双方とウエア契約を結んでいるメーカーは、最終日に人々の視界に入るレッドシャツ姿は「ウッズ・オンリーにしたい」ということだったのでしょう。
あのマスターズ最終日、リードはいつもの赤ではなく、ピンクのシャツで登場し、勝利をもぎ取って、グリーンジャケットを羽織ったのです。
それにしても、マスターズの優勝争いという肝心な場面で、自分の「勝負カラー」をあっさり変えてしまっていいものなのだろうかと、あのとき私は首を傾げてしまいましたが、リードがすんなり勝ったので、「勝負カラー」は単なるゲン担ぎか、迷信みたいなものなのだろうかと妙にクールになってしまいました。
でも、ピンクのシャツに羽織ったグリーンジャケットは、それはそれで、とてもよく合っていました。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)