マンデー突破で夢を叶え、親子で男泣きをした選手の話【舩越園子 ゴルフの泉】

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2021年バルスパー選手権でのマイケル・ビサッキ 写真:Getty Images

アメリカツアーの大会では、開幕前の月曜日にマンデー予選が行なわれます。マンデー予選は大会出場を目指して誰もがチャレンジできるオープン予選ですが、本戦出場が叶うのはわずか4人程度という狭き門です。今回は、そんなマンデーを勝ち抜き本戦出場を果たした選手のお話です。

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誰よりも喜んだのは父親

 2021年3月にフロリダで開催されたバルスパー選手権のマンデー予選を勝ち抜き、本戦出場権を手に入れた大柄な選手は、感極まって、その場で子どものように泣き出しました。

 すぐに父親に電話をかけ、「お父さん、オレ、やったよ!」と泣きながら報告。すると、スマホの向こう側の父親も、「とうとうやったな。おめでとう。お父さんも泣いているぞ」と涙声。その様子を撮影した動画は瞬く間に拡散され、再生回数は1200万回を超えました。

 大柄なその選手は、草の根のミニツアーで腕を磨くマイケル・ビサッキ、27歳。彼の父親はユーゴスラビア出身で、母国で貧しい生活を送っていたそうですが、やがて一家はアメリカのフロリダ州へ移住しました。

 ビサッキ親子は、2004年に地元で開かれたバルスパー選手権(当時はクライスラー選手権)の観戦に行き、フィジー出身のビジェイ・シンが外国人ながら優勝した姿に感動を覚えました。

貧しかったビサッキの移動は古い日本車だった

初のPGAツアーは残念ながら予選落ち 写真:Getty Images

 ビサッキの父親が「うちの息子もチャンピオンになれますか?」と尋ねると、シンは「それならば練習、練習、練習だ」と答えたそうです。

 その言葉を信じた父親は息子に「扉をノックし続けろ。いつか必ず扉は開く」と励まし続け、息子は鍛錬の日々を送ってきました。ゴルフ練習場で働きながら転戦費用を捻出。戦う場を求め、全米各地へ安価な陸路のみで移動。ビサッキの愛車は2010年型の日本車ですが、すでに走行距離は17万マイルを超えているそうです。

 そんな彼がマンデー予選を突破し、大会に出場できたことは、まさに「ドリーム・カム・トゥルー」でした。残念ながら結果は予選落ちでしたが、「自分にもできるということがわかった。とにかく扉は開いた。これからも頑張ります」と胸を張ったビサッキの今後の活躍がとても楽しみになりました。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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