はじめの一歩を踏み出す勇気が道を切り開く唯一の方法【舩越園子 ゴルフの泉】

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フジサンケイクラシックでツアー初優勝した大西魁斗 写真:JGTO images

先週の国内男子ツアーのフジサンケイクラシックで優勝を飾った大西魁斗は9歳でゴルフを学ぶために単身渡米した経験があるそうですが、なにかをはじめるとき、その最初の一歩を踏み出す勇気を持つことが何よりも大事だというお話です。

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練習環境が無いことが理由にはならない

裏庭の疑似練習場から出発したブレンダン・スティール 写真:Getty Images

 アメリカツアーにブレンダン・スティールという選手がいます。彼は幼いころ、偶然出会ったゴルフに強く惹かれたそうですが、彼が暮らしていたカリフォルニアの山の中の小さな町には、ゴルフ場もゴルフ練習場も1つも無かったそうです。

 「どうしてもゴルフがしたいと言ったら、父が裏庭にネットを張って練習場らしきものを作ってくれた。シャベルで穴を掘り、どこかで買ってきた砂を入れてバンカーも作ってくれた。僕はそこでゴルフを覚えました」

 スティールの故郷には高校も無く、彼は車で片道小1時間もかかる隣町の高校へ進みました。その高校にはゴルフ部があり、練習施設も備わっていました。

 スティールは、「本物の練習場で初めてボールを打ったときの感動は今でも忘れられません」と、新たな一歩を踏み出した運命の日のことを感慨深げに語ってくれました。

自分の居場所は自分でつくる

自ら自分の居場所をつくった塚田陽亮 写真:JGTO images

 2016年に日本のメジャーの1つ、日本ゴルフツアー選手権で初優勝を飾るまではほぼ無名だった塚田陽亮選手が、その優勝資格でアメリカの大会にやってきたことがありました。

 彼は中学3年で単身渡米し、フロリダ州内の高校に通いながらゴルフ専門のアカデミーで腕を磨きました。しかし、高校卒業後に挫折感を抱いて日本へ戻ったそうですが、それでもなおプロになる夢を諦めず、日本の大学を経て、日本でプロになりました。

 しかし、アメリカ帰りの異色の存在だったせいか、最初は先輩プロに挨拶しても挨拶を返してもらえず、「僕には長い間、居場所が無かった。でも、このままではダメだと思い、挨拶しまくって自分を覚えてもらい、居場所を自分で作り出すことから始めようと思いました。それがパフォーマンスにつながると思ったんです」と話してくれました。

 練習場が無い環境で裏庭の疑似練習場から出発したスティール。居場所が無い環境に居場所を作ろうと努めた塚田選手。無いことを憂うより、アクションを起こそう。

 はじめの一歩には勇気もエネルギーも必要だけど、その一歩はいつか十歩になり百歩にもなることを、私はスティールや塚田選手から教えられた気がしました。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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