PGAツアーのように試合から試合への移動が長い場合は、ホテルなどで洗たくをすることはよくあることですが、今回はそんなランドリールームで驚いた洗たく風景のお話です。
試合が終わればホテルで洗たく!これがキャディのルーティン
とても気さくな名キャディとして知られていたスティーブ・ウィリアムスは、タイガー・ウッズの相棒キャディになって以来、いつもメディアを警戒してピリピリ緊張している神経質なキャディと化してしまいました。
親しく言葉を交わしたり、ジョークを言い合ったりする機会は皆無になってしまったのですが、数年が経過した2005年のある秋の夜、私が宿泊先のホテルのランドリールームで洗たくをしていたら、背の高い白人男性がふらりと入ってきました。驚いたことに、その男性はウィリアムスでした。
ウィリアムスは、ウッズが稼ぐ高額賞金のうち、少なくともその10%以上をキャディとしての報酬として手にしていると言われており、その報酬の合計額は、当時のアメリカツアーの選手たちの賞金ランキングに当てはめると、軽々トップ10に数えられるというのが、もっぱらの噂でした。
アメリカだから洗たく機も強力??
そんな超リッチなウイリアムスが、私たちメディアと同じ手ごろな料金のホテルに泊まり、洗たくも自分でしていることは少々驚きでしたが、怪訝そうな顔で見つめていた私に、彼はこう説明したのです。
「だって、自分で洗たくするほうが手っ取り早いし、超一流の高級ホテルにはランドリールームが付いていないだろう?だから、こういうビジネスユースのホテルのほうが便利で好きなんだ」
それはそれで、好みの問題だから、お好きなようにというところ。しかし彼は28センチか29センチぐらいの巨大なスニーカーを洗たくものと一緒に洗たく機に投げ込んだため、洗たく機はガタンガタンと轟音を立て始めました。
その洗たくの仕方は、豪快というか、粗雑というか、無謀というか。私はウイリアムスとの会話の内容より、洗たく機が壊れないかどうかが心配でたまりませんでした。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)