常に戦い続けていたミシェル・ウィーに敬意をもって接した丸山大輔【舩越園子 ゴルフの泉】

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当時16歳だったミシェル・ウィー(右)と丸山大輔 写真:Getty Images

日本の国内男子ツアーに出場したこともあるミシェル・ウィー。今回は、ちょっとお騒がせな部分がありながら自分の進む道を貫いた彼女と、騒動に巻き込まれながらも彼女に敬意をもって接した日本人選手のお話です。

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当時のミシェル・ウィーはゴルフ界の中心にいた!

 ハワイ出身の女子選手、ミシェル・ウィーは、2019年に結婚して妻になり、翌年出産して母親にもなっていますが、かつての彼女は男子の大会に果敢に挑む珍しい女子選手として、世界のゴルフ界をたびたび驚かせていました。

 あれは2006年の夏。当時16歳だったウィーは、男子ツアーの大会、ジョンディア・クラシックにスポンサー推薦で出場したのですが、2日目のラウンド中、熱中症で棄権し、救急車で病院へ搬送されました。

 アメリカのメディアは、ティーンエイジャープロの彼女が続けているあくなき挑戦の是非を世の中に問いかける記事を発信。女子選手が男子の試合に挑むことは、当時のゴルフ界では、常に騒動と隣り合わせでした。

2006年ジョンディア・クラシックでのミシェル・ウィー(右)と丸山大輔 写真:Getty Images

相手を認める器の大きさが丸山大輔の魅力

 あのジョンディア・クラシックの開幕前、多くの男子選手たちは、騒動に気を取られて自分のプレーに集中できなくなることを嫌がり、「ウィーと同組にだけはなりたくない」と言っていたのですが、予選2日間、ウィーと同組になったのは、当時アメリカツアーに参戦していた日本人選手の丸山大輔でした。
 
 ウィーが病院に搬送された後、やっぱり男子選手たちの間からは、「ウィーはプレーは遅いし、棄権をなかなか決意せずに途中で医者を呼んだり、座り込んだり、挙げ句に救急車騒ぎで、僕らにとっては大迷惑だった」といった不平不満が聞こえてきました。

 しかし、ウィーと同じ組で回って最も影響を受けたはずの丸山は、棄権を決めたウィーから「ごめんなさい」と日本語で挨拶されたとき、彼女の手を優しく握り、静かに微笑んでいました。

ウィーが棄権したジョンディア・クラシックで10位と健闘した丸山大輔 写真:Getty Images

 ウィーが去り、静まり返った決勝2日間で丸山は大健闘し、10位に食い込みました。

 巷の喧騒にとらわれず、流されず、弱者にやさしく接し、我が道を着実に歩んでいた丸山選手。「大ちゃんは素敵な大人だな」と思いました。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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