「フォア」とは、ショット時のボールを隣のコースに打ち込んでしまったり、大きく軌道を逸らしてしまった時に他の人たちに注意を喚起するためプレーヤーやキャディが叫ぶ言葉で、一般的には「ファー」と発音し、英語では「fore」となります。その由来についていくつかの説を紹介しましょう。
英国陸軍で使われていた“Beware before”(前方注意)の略
かつての英国陸軍では、戦場において後方の大砲の砲撃手が前方の味方兵士に危険を知らせるために「beware before(前にいる人は気をつけろ)」という掛け声を発して砲撃の合図としていました。
しかし、瞬時の判断が生死を分ける戦場で“beware before”は長すぎたため、”before”を短縮して『フォア!!』と叫ぶようになったことが、同じような状況で前方に危険を知らせるゴルフのショットでも使われるようになったという説があります。
フォアキャディに危険を知らせる掛け声が縮まったもの
ゴルフコースの中には、大きく曲がって前方の視界が限定されるロケーションもあります。そういうコースでのトーナメントなどでは、コース前方に先回りしてボールの落下位置を確認する『フォアキャディ fore-caddie』が付く場合があります。
プレーヤーはティーショットでボールが飛んでいくことを前方にいるフォアキャディに知らせるため、ショット直後に「フォアキャディ!」と呼びかけるところを、略して「フォア」と言うようになったというのが2つ目の説です。
3つ目の説はオランダ語の“voor”から
ゴルフ発祥の地は実にさまざまな説がありますが、なかでも有力なものがスコットランド、オランダ、ローマ帝国などです。
このなかで『ゴルフはオランダが発祥』と唱える人々の間に、オランダ語の“voor” (前方にいる人に注意を呼びかける意味を持つ言葉)が「フォア」の語源だとする説があります。ただ、オランダ語で“voor”の正しい発音は『ヴォール』と発するそうなので、少し信憑性には欠ける気がしますが。
ここまで「フォア」の由来についていくつか紹介しましたが、いずれにしてもプレイ中に後方や隣のホールから「ファー」と聞こえた場合、ついその方向を見てしまいがちですがそれは間違いです。
まずは自分の後頭部を守る姿勢をとることが重要。そしてもし自分がとんでもない方向に打ってしまった時は、恥ずかしがらずに瞬時に「ファー!!!」と叫ぶ訓練も大切なことです。